佐沼屋の染め替えはどのように行っているのかご説明致します。
『色かけ』による染め替えを綺麗に染め上げる
着物の地色を濃く染める色掛けには、『丸染め』と呼ばれる仕立て上がった状態で染める方法と、着物を『反物状態に戻してから染める』方法があります。
それぞれのメリットとデメリットについて紹介します。
シミや汚れを完全に除去できない状態で染めると、シミが黒っぽい影の様になって浮かび上がることが有り、染め上がり後染み抜きが困難になる可能性がある。
『丸染め』は『反物状態に戻してから染める』方法と比べて低価格になりますが、色の仕上りに不安が残ります。
佐沼屋では、ご希望のお色目に染め上がらない可能性があるため、現在丸染め加工は行っておりません。
なお、このどちらの方法で『色掛け』を行っても、地色の上に色掛けを行うため多少の誤差が生じ、色見本と完全に同色に染め上げることは困難です。
このことをご理解頂いた上で、染め上がりを楽しみに待つのも色掛けの楽しみの一つです。
濃い色から薄い色への染め替えは着物の状態によりお勧めできない事があります。
着物の濃い地色を抜くためには生地に負担がかかる薬品を使用し、下抜きを行います。
その後、漂白剤を使用し本抜きを行い白抜きと呼ばれる作業を行います。
特に、綸子の様に光沢のある生地は傷ができやすいため、着物によっては別の方法を検討します。
ここまで説明した加工は、生地が下抜きや本抜きに耐えられるものであればいいのですが、縫紋の跡など小さい穴が空いている場合生地が破れる事があります。また、黒留袖など完全に抜き切れない着物もあります。
保管状態にもよりますが、20年から30年を超えるような着物は注意が必要です。
新しい着物の場合でも、染め上がりの生地が薄くなったと感じられることもあります。染め替えが可能な着物であっても、生地の破損や生地を弱らせる可能性があることをご理解下さい。
着物の柄の色は変えずに地色だけを変える『柄伏せ・色かけ』という方法があります。
柄伏せは手作業でマスキングを行う為、柄の大小や細かさにより加工価格が変わります。
また、柄伏せを行っても濃い地色の染めの場合多少色が入り込む場合があります。
この時は、友禅の修復も一部必要となる可能性があります。
『色かけ』と比べ加工方法は似ていますが価格の面で高くなることが多いです。
今まで説明してきた染めの方法は『無地染め』と呼ばれる単色の色掛けですが、着物全体にシミがあり染み抜きが高額になる場合は『小紋染め』を行う事でシミを隠すことも可能です。
シミを抜かずに小紋柄を入れる為、よく見るとシミが見える事は有りますが無地染と比べると、目立たない仕上がりが期待できます。
また、鮫小紋の様な柄に少し濃い色の無地染を行うと、小紋柄は目立たなくなり、見方によっては無地染めの様になる場合があります。
なお、無地染めに関しては、シミがあると染めムラとなって出てくるため、ある程度シミ抜きをしてからの染め替えをお勧めしています。
佐沼屋で主に取り扱っている着物修復サービスの一覧です。染み抜き、洗い張り、サイズ変更などお客様のご要望を伺い、お着物に最適なお手入れをご提案いたします。お気軽にお問合わせ下さい。