佐沼屋呉服店

2024.8.27

こんにちは、佐沼屋です。8月も終わりに近づき、少しずつ秋の気配を感じるようになってきましたね。まだまだ残暑が続くものの、そろそろ季節の変わり目を意識し始める時期です。この時期にぴったりの和装スタイルお探しの方には、「単衣(ひとえ)」という着物がおすすめです。単衣は、6月や9月のような季節の変わり目に特に適しており、初心者の方でも気軽に楽しむことができます。今回は、そんな単衣についてご紹介します。


着物は大まかに分けて「袷(あわせ)」と「単衣(ひとえ)」の二つに分類できます。6月や9月のような季節の変わり目に着る着物が裏地のない「単衣」で、それ以外の季節に着る裏地のある着物が「袷」です。


単衣とは、裏地をつけずに仕立てられた着物で、生地には絹や木綿が使われるため、透け感がありません。裏地がないので、袷よりも薄手で軽く、涼しいのが特徴です。単衣には、後ろの幅いっぱいに「居敷当(いしきあて)」という白い布をつけることがあります。これは、お尻の部分が透けるのを防ぎ、生地を補強するためのものです。


6月や9月と言いましたが、これはあくまで目安に過ぎません。最近は温暖化の影響もあり、地域や気候によっては4月下旬頃から単衣を着始める人もいらっしゃいます。暑さや寒さの感じ方は人それぞれなのでルールにとらわれず、ご自身の感覚で判断されると良いでしょう。


また、単衣を着る季節の中でも特に暑い7月と8月には、見た目にも涼しげな透け感のある絽(ろ)や紗(しゃ)、麻などの着物を身に付けます。これらは「薄物」と呼ばれ、単衣とは区別されています。


ちなみに、気温を基準に単衣の着用を考える場合、気温の目安は20℃~25℃となります。20℃以下が袷、25℃以上が薄物と判断します。


単衣の季節は、6月を春単衣、9月を秋単衣のように考えるとイメージしやすいでしょう。気温によっては4月下旬頃から単衣を着始める人もいますが、その場合、御召、縮緬、紬、木綿などを選ぶと良いでしょう。梅雨の時期は寒暖差が激しく、雨の日も多いため、紬糸を使用しない織の着物、黄八丈、大島紬、御召などがオススメです。


秋単衣の場合は、素材は同じでも色合いを春単衣と区別するようにしましょう。春単衣には淡い色合いや爽やかな色合いが季節に合いますが、秋には落ち着いた色の方がしっくりきます。


以のように、単衣の着物は季節の変わり目に最適なアイテムです。裏地のない軽やかな仕立てで、涼しさと快適さを兼ね備えています。春単衣と秋単衣の違いや、地域や気候に応じた着用の工夫を取り入れることで、より一層快適に着物を楽しむことができます。特に着物初心者の方には、自分の感覚に合わせて単衣の着物を選び、季節の移ろいを楽しんでいただければと思います。


皆さまもぜひ、単衣の着物の魅力を体験してみてください。快適でスタイリッシュな装いで、季節の変わり目を楽しんでいただけることでしょう。