佐沼屋

2026.8.22

■防水とはっ水は何が違うの?


着物ファン歴の長い方ならガード加工のことはよくご存知かもしれません。夏の始めに美しく咲く蓮の花、そして蓮の葉の上を転がる水滴などをイメージしてみてください。ガード加工の名称は加工を施す会社や、使われる化学薬品の名前などによってさまざまですが、目的は大切な着物を汚れにくいようにする、というところで概ね一致しています。


着物や帯に施されるガード加工の多くは、はっ水加工と呼ばれます。空気や水は一切通さないというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、それは防水加工です。それでは防水加工とはっ水加工の違いはどういうところなのでしょうか?いずれも雨水が布に染み込まずにはじきますし、こぼした飲み水や調味料などもはじきますが、防水加工が空気を通さないのに対して、はっ水加工は通気性がありますので、蒸れたりすることなく快適な着心地を損ねることがありません。これが防水加工とはっ水加工の大きな違いです。コンビニで数百円で買える雨合羽などを着用し、中が蒸れてサウナ状態になったことがある方はこの違いをイメージしやすいかもしれません。


■帯にもガード加工?


はっ水加工は糸の中まで空気をしっかり通しますので着心地は変わりません。地球規模で温暖化が進み、夏が年々長くなる日本において、これはとても重要です。


さらに、はっ水加工を施しても着物の風合いは基本的には変わりません。はっ水加工は風合いを損ねるので紬には施さないほうがよいと言う方もいましたが、心配は要りません。したがって、大切な、特に絹の着物にははっ水加工を施しておくことをお勧めします。


また、帯にはっ水加工をしておけば、帯芯にカビが発生する確率を下げることができます。ご自分で、洗濯機に入れて洗う物、たらいなどでザブザブと手洗いする浴衣や木綿の着物や小千谷縮などの麻の着物もありますが、自宅で洗えない絹などははっ水加工をしておくと、お手入れも簡単になります。


絹の帯でも、帯芯は木綿を使用することが多いため、表から見ると汚れたりカビが生えたりしているのが分かりにくくても、帯芯にカビが生えていることはとても多いので、汗をかいていないと思っても、締めた帯は一晩下げておき、湿気の多い季節はエアコンや扇風機を利用しましょう。はっ水加工をしておくと、帯芯にまで汗が届きにくいので、カビの発生を抑えられます。どこにもカビが生えてないのに、たんすを開けるとカビ臭いという場合には帯芯を疑ってください。