佐沼屋呉服店

2024.4.26

こんにちは、佐沼屋です。着物コーディネートの要となるのが帯です。昔から「着物1枚に帯3本」と言われるのには理由があり、帯ひとつを変えるだけで印象が変わるからなのです。帯を増やしていくと、お気に入りの着物の幅が拡がり、着物を着ることがまた楽しくなります。


帯の魅了は様々ありますが、今回は帯の種類についてお伝えしたいと思います。どのような帯をどのような場面で使うかを知ることで、着物をさらにおしゃれに楽しむことができます。


まず、帯の種類は「丸帯」「袋帯」「名古屋帯」「半巾帯」の4つに区分されます。それぞれの特徴と、どのような着物やシーンに合わせるのが適しているか、順に見ていきましょう。


 


【丸帯】


江戸時代から続く歴史ある衣類であり、基本礼装用として使われてきました。戦前までは礼装用としては最も格の高い帯として着用されました。豪華なものが多かったことから重く締めづらいものとして、時代と共に廃れ、今では主に舞妓さんや結婚式での白無垢や色打ち掛けなどの特別な着物にのみ用いられています。そのような華やかな場面で使われることが多いため、金糸や銀糸を用いた豪華な仕上がりが特徴です。また、帯の幅が広いので、半分に折って結びます。裏地にも表地と同じ柄が入っているので、どのような結び方をしても柄がきちんと出るようになっているのが丸帯の魅了でもありました。江戸時代中期から女性の髪型が大きくなるにつれ、バランスを取るようになったことで帯幅や帯結びも太くなりました。なお、この丸帯を使いやすいものとして作られたものが次の袋帯になります。


【袋帯】


丸帯の軽量化版として作られたのが袋帯です。表地と裏地の生地を袋状に縫い合わせて仕立てることから、袋帯と名付けられました。以前は丸帯の代用として礼装用の用いられることが多かったですが、平成に入ってからはカジュアルとして気軽に使える袋帯も作られるようになり、今ではむしろカジュアル用が多いくらいでしょうか。


なお、一般に言われる「二重太鼓」ですが、元々「お祝い事が重なって起こりますように」という意味があり、お祝い事や結婚式の礼装の着物に合わせるのが基本でしたが、カジュアル用の帯も同じく二重太鼓として締めます。柄は「六通柄」が主に使われています。名の通り6割ほどの長さに柄が入っています。帯を締めて隠れた箇所に柄がないものとお考えください。その他、全通柄もありますが、全体に柄が入る分作業工程が複雑になるため高級品として扱われます。また、お太鼓柄はお太鼓結びをした時に、お太鼓となる後ろと前の部分のみに模様がつけられた帯なり、主にカジュアル用となります。産地は京都・西陣がほぼ中心となり、その他博多織にも袋帯が一部あります。


【名古屋帯】


名古屋帯は袋帯を簡素化させた構造になっているもので、大正時代末期に名古屋で考案されたことからその名が付けられました。主に普段着やお出掛け用の着物に合わせられ、カジュアルなシーンに適しています。普段使いを想定しているので、帯の長さは袋帯よりも短く、幅約30cm、長さは3m60cm程度となっています。そのため、袋帯が二重太鼓で結ぶのに対し、名古屋帯は一重太鼓で結びます。これが気軽に締められる名古屋帯の魅力です。なお、帯幅により八寸名古屋帯、九寸名古屋帯となります。付け下げや色無地、小紋、紬、御召などに合わせることが一般的です。名古屋帯は種類やデザインも豊富です。袋帯より構造的に簡易的なつくりのため、コストもおさえられ、着物をカジュアルとして楽しむ現代では本数をもっておくと重宝します。卒業式や観劇、同窓会などのシーンに合わせて着物と楽しめます。産地は京都・西陣の他、福岡・博多織、群馬・桐生などになります。


【半幅帯】


帯の中で一番「格」が低く、カジュアルなシーンで活躍します。主に小紋や紬などの普段着や浴衣に合わせられ、結び方のバリエーションが豊富です。幅が狭く、長さがあるため扱いやすく、オールシーズンで使用できます。半幅帯の良いところは軽くて薄いので気軽にさっと結べることです。結び方もほぼ多彩で、その結び方でおしゃれを楽しめるのも半幅帯の魅力です。帯の中ではリーズナブルなものになりますが、博多織など本格的なものは一定の高級感もあり、おしゃれ通さんの間ではとても人気のある帯となります。


いかがでしたか?帯は選び方によって、着物の印象や雰囲気が大きく変わります。自分の着物やシーンに合わせて、最適な帯を選んでみてください。帯の選び方ひとつで、着物ライフがより楽しくなること間違いありません。