佐沼屋呉服店

2025.12.12

石川県出身の松島由美さんは、30歳のとき母親の影響で加賀友禅の道に進みました。「どんな草木や花も、自分なりに消化してからでないと描けない」という想いのこと、細やかな感性を筆に込めています。

伝統の継承だけでは足りないと考え、日常の小さな感動を作品へと昇華。型にとらわれない表現の中に、加賀友禅らしい深みを息づかせています。

その実力は高く評価され、加賀友禅技術保存会で創立以来初の女性会員となりました。松島工房を拠点に、全国の伝統展や現代美術展で数々の賞を受賞し、加賀友禅の新しい可能性を切り拓いています。


 


〇松島由美先生の制作心情


本来の五行思想説の根底には「5種類の元素が互いに影響し、生滅盛衰により循環をもたらす」とあります。私の感じるところでは、この地球そのものの根底は海であり、水(元素)です。

地球を中心に考えた場合、もっとも初めに「水」次に「火」、また宇宙を中心とした場合は「火」→「土」となり、どれもが何らかの力が生じていると思います。どのような生物やものにも生滅盛衰があり始まりと終わりは平等に一度ずつやってくる。その始まりと終わりを決定づける思想はそれぞれの器の大きさと空想力だと信じて物事をすすめています。そして、今回の『生成』では「水」「山(土)(金)(木)」「光(火)」を結びつけ、シンプルで何かを(想っていただける)感じていただける構図としました。

染め色については、神秘を感じる青紫紺を基本に、薄青から濃紺までで空間を表現し、白の直線は「何をも透かす一辺の光」を意味しています。


 


※『るると』より要約引用


※※『るると』オリジナル加賀友禅の制作にあたり、テーマである五行思想についてお話を伺いました。