こんにちは、佐沼屋です。今回は佐沼屋でも人気の大島紬についてお伝えして参ります。
〇自然から生まれ、職人の技に磨かれた伝統的工芸品
本場大島紬は、鹿児島県を代表する伝統的工芸品です。。奄美大島で誕生し、豊かな自然と職人の技に育まれ、桜島と錦江湾のふところに抱かれ、世界に類をみない絹織物として発展してきました。精緻なデザイン、光沢を抑えた気品のある艶、軽くて暖かく、しわになりにくいしなやかな着心地が特徴です。古くは島の植物を原料とした素朴なものでしたが、職人達が独特の美意識で絣模様の正確さを追求し、「大島紬は二度織る」と言われる技法へと進化。現在は伝統的な色・図案に加え、多彩なカラーやデザインが生まれています。本場大島紬織物協同組合による20項目の厳しい品質調査を経て認証されたものだけに「本場大島紬」の合格証紙が与えられます。
〇大島紬の歴史
大島紬は、1300年以上も前から受け継がれ、磨かれた技と美を持っています。鹿児島では奈良時代以前から養蚕が行われ、手紡ぎの絹糸で紬が織られていました。奄美では絹糸に加えて芭蕉や木綿などの糸を混織りしながら、日常着として自由に織物を楽しんでいました。次第に花織や絣などの表現も増え、洗練された織物へと変化していきました。やがて高級織物として珍重されるようになり、薩摩藩からは役人以外の島民の紬着用御禁止令が出されました。明治40年頃には締機による織締絣という方法が採用され、世界に類を見ない大島紬独特の絣デザインが表現できるようになりました。
〇大島紬の特徴
大島紬は、独特の車輪梅と渋みを持つ泥染めが際立っています。車輪梅の技法では、テーチ木のタンニンが糸を赤褐色に染め上げるのです。泥染めは、タンニンと泥の鉄分が結びつくことで独特の黒色を生み出します。
職人たちの手によって施される模様は、多くが自然界の草花を基にしています。時を経て技術が進化しても、そのモチーフは変わることはありません。男女向けの柄には、さまざまなアレンジが施され、多彩なデザインが楽しめます。
大島紬の美を象徴する表面の光沢。これは、大正時代に誕生した本絹練糸の技法が受け継がれているから。この技法の進化により、より深みのある輝きを放ち、多くの人々を引きつけています。
大島紬の特徴は、その見た目だけでなく、抜群の着心地にもあります。軽さが特徴で、長時間の着用でも負担を感じさせません。滑らかな触感と、冬暖かく夏涼しい性質は、四季を通して快適に過ごさせてくれます。
頑丈でシワが寄りにくいこの布地は、長く使用するほど肌になじみ、さらに美しさを増していきます。親子や孫まで、長く引き継がれる伝統的な逸品。何世代にもわたり、その価値を受け継いでいます。
〇大島紬の文様について
大島紬の柄は、時間や技術の進歩に伴ってさまざまに進化してきましたが、中心となるモチーフは変わらず自然の草花を取り入れています。男性用と女性用の二つのカテゴリに分かれており、多彩なデザインが楽しめる点が魅力的です。
龍郷 (たつごう) のデザインについて:
奄美の代表的なクラシックな柄です。奄美固有の植物であるソテツを中心にデザインされた女性用の柄となっています。ソテツの葉や果実を幾何学的にデザインし、大島紬のシンボルとも言えます。
亀甲のデザインについて:
男性向けの主要な小紋柄です。吉祥の象徴である亀甲を模しており、男性の優雅さを際立たせるデザインとして知られています。
その他の男性向けの主なデザインには、西郷柄や有馬柄、伝優柄、白雲柄などが挙げられます。女性向けには、クラシックなデザインや幾何学的なデザイン、草花を中心としたデザインや更紗のデザイン、モダンアート風のデザインなどがあります。
〇まとめ
本場大島紬は世界の三大織物に数えられ、日本の国宝としても世界的に評価され、1975年に国の伝統的工芸品に指定されたことで生産のピークを迎えました。当時は、年間約30万反ほど生産されていたといわれています。しかし、残念ながら時代の流れと共に生産量は減少し、2020年の奄美大島での生産量はわずか3385反にとどまりました。この希少な織物を、日本が誇る伝統工芸品として、私達はこれからも守り続けなければなりません。最近では本場大島紬の生地が使用されている小物や雑貨も増えてきていますので、皆さんも見掛けた際には、是非お手に取ってみてください。